暑い季節に要注意!高齢者の熱中症で気にかけること
熱中症の症状とは?
熱中症とは、高い気温や湿度が原因で起こるさまざまな症状のこと。暑いからといって全員が熱中症にかかるわけではなく、その人の体の状態などによっても、症状の有無や程度が変わります。
症状は軽いものだと、めまいや顔のほてり、体のだるさなど。ひどくなってくると、吐き気、筋肉痛やけいれんなどを起こします。異常に汗をかいたり、皮膚が熱くなったり赤くなっている状態も熱中症の症状です。
熱中症は、重症になると自力で水分摂取をできなくなったり、意識障害やふらつきなどを起こしたりしてしまい、最悪の場合は命を落としてしまうこともあります。
熱中症の種類について
熱中症の具体的な症状として以下のものがあります。
●熱失神
皮膚血管の拡張によって血圧が低下し、脳への血流が悪くなり発症します。主な症状はめまい、失神、呼吸や脈拍数の増加などです。
●熱けいれん
汗をかいた後、血液中の塩分濃度が低下することによって起こります。主な症状は筋肉痛、手足がつる、筋肉のけいれんなどです。水分補給した場合でも、塩化ナトリウムなどを含まない水道水を飲んだ後に起こることもあります。
●熱疲労
汗をかいた後で水分の補給を怠ると、体が脱水状態になり全身の脱力感、倦怠感、悪心、めまいなどの熱疲労の症状がみられます。
●熱射病
体温が上昇し中枢機能に異常をきたした状態です。意識障害のほか頭痛、吐き気、めまいなどもみられます。また、臓器の血管が詰まることによって起こる臓器障害を合併する可能性もあります。
熱中症の原因とは?
熱中症の原因は「高温多湿の環境」や「直射日光」です。 通常、私たちの体は体温が上昇すると汗をかき、熱を発散することで、気温や湿度の上昇に対応しています。
しかし、あまりに気温や湿度が高かったり、部屋を閉め切っていたりといった環境だと、体がうまく対応できずに熱中症を起こしてしまうのです。 同じ環境や条件でも「子どもや高齢者、体調がもともとよくない人」などは、体温調節機能が低く、熱中症にかかりやすくなります。
また、炎天下での運動や作業、水分補給の不足なども熱中症を引き起こす原因です。 高齢者の場合、もともと熱中症になりやすいうえに、病気や体調不良になっても人に話さず我慢しようとする人もいます。
また、エアコンなども「もったいない」といって使いたがらない人もおり、そのような傾向がよけいに熱中症を重症化させる原因となってしまいます。
高齢者の熱中症リスクが高い理由
1.暑さを感じにくい
2.体内の水分量が少なくなる
3.のどの渇きを感じにくい
4.我慢・無理をしてしまう
上の4つが高齢者が熱中症になりやすい理由と言われています。
これらの理由を知って入れば、どのような対策をとるべきなのかがわかります。
ここからは、理由を詳しく説明します。
1.暑さを感じにくい
通常は外気温が上昇することに伴って体温が上がれば、体が暑いと感じて汗をかくなど、体温を下げようとする機能が自然と働きます。
しかし、高齢者はこのような体温調節機能が低下してしまうといわれています。たとえ体温が上昇していたとしてもうまく体が対応できず、体温を下げることが難しくなるのです。
また、体が体温を調整しにくくても、暑さを感じれば涼しい場所に移動したいと感じたり、エアコンを作動させるといった、体温を下げるための行動をとりますが、暑さを感じにくい高齢者は、体温を下げようとする行動をとろうと思いにくいため、結果的に熱中症になりやすいのです。
2.体内の水分量が少なくなる
高齢者は、若年層より体内に保持している水分量が少ないとされています。
体温を調節するために水分は不可欠ですが、そもそも体内に含まれている水分量が少なければ、体から少しの水分が失われただけで熱中症になりやすくなります。
体温調節だけでなく、体の老廃物を排出するためにもある程度の水分が必要です。
しかし、「トイレに通う回数を抑えたい」といった理由で意図的に水分摂取量を控える高齢者も多いため、日常的に脱水状態になっている高齢者は意外と多いです。
食事にも水分が含まれていますが、食事摂取量が低下した高齢者はさらに脱水状態になりやすく、熱中症になるリスクが高いといえます。
3.のどの渇きを感じにくい
体内の水分が少なくなれば、人間は自然とのどの渇きを感じるようになり、水分を摂取したいと感じるようになります。
しかし、高齢者は体が脱水状態になっていたとしても「のどが渇いた」と感じにくいそうです。
のどの渇きを感じる機能が低下すると、いつまでたっても脱水状態が補正されず、熱中症を発症するリスクを高めてしまいます。
たとえ大量に汗をかくような運動をしていなかったとしても、日常的な汗、尿や涙などのように常に水分を排出しています。
入浴中や睡眠中など、気づかないうちに多くの水分が失われているケースもあるため、意識的に水分を摂取することが大切です。
4.我慢・無理をしてしまう
熱中症対策のために水分摂取が重要だと知っていても、高齢者によってはつい我慢や無理をしてしまう人もいます。
「周囲の人達に迷惑をかけたくない」「夏は暑いものだ」と言って熱中症対策に必要な行動をとらないことで、熱中症を発症してしまう高齢者は多いです。
今まで大丈夫だったからといって、必ず熱中症にかからないわけではありません。
近年の異常気象が多発している状況を考えると、体が耐えられないような暑さが続いてしまう危険性が高いので、今までの生活様式を変化させる必要があります。
とはいえ、これまで過ごしてきた生活様式を突然変化させるのは簡単なことではないので、少しずつ身につけていくことが大切です。
熱中症を予防するためにしたいこと
計画的な水分・塩分の補給
汗をかきすぎて脱水状態になると、熱中症を起こしやすくなってしまいます。特に高齢の方はもともと体の水分が少なく脱水症状になりやすいため、喉が乾いたと感じる前に、工夫してこまめに水分をとるように促しましょう。
こまめに水分をとるには、1日のスケジュールの中で水を飲む時間を決め、習慣化するとよいでしょう。「起床時、食事の前後、おやつの時間、入浴の前後、就寝前などにコップ1杯ずつ」と決めれば、家族もご本人も水分をとりやすくなります。 水分をとるときは、塩分も一緒にとることも大切です。
高齢者の方と別々に住んでいるなど、水分補給を直接促せない場合は、
弊社の高齢者見守りセンサー「みるモニ」のテレビメッセージ機能を活用して、テレビで水分補給を促すことなどもできます
涼しく過ごせるよう環境を整える
熱中症を防ぐためには、まわりの環境を整えることも大切です。高齢者のなかにはエアコンを使いたがらない方もいらっしゃいますが、「熱中症を防止するため」という目的を伝え、エアコンや扇風機をうまく利用して27〜28℃前後に室温を管理しましょう。
室内に温度・湿度計を置いて、どのくらいの気温なのかが一目でわかるようにしておくのもよい方法です。 また、テレビなどの天気予報では暑さ指数が発表されています。暑さ指数は指数によって、それぞれ以下のように行動が推奨されていますので、指数を参考にしてみましょう。
・「25〜28℃」で、運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。
・「28〜31℃」で、外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。
・「31℃以上」では、高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きく、外出はなるべく避けて涼しい室内に移動する。
体に熱がこもると熱中症になりやすくなりますので、体温を下げるために風通しのよい素材の衣類を着ること、直射日光を避けるために、出かけるときは帽子や日傘を利用することも心がけます。
また近年では、外出時に使えるスカーフなどの冷却グッズも増えているので利用を検討してみてください。
高齢者見守りセンサー「みるモニ」熱中症警報機能
日中の外出や屋外の作業は控えめに
日差しが強い時間帯に外出をしたり、庭仕事などの屋外の作業をすると体温が上昇し、熱中症のリスクが高まります。外出するなら気温がまだ上がり切っていない午前中や、気温が下がってきた夕方などにしたほうがよいでしょう。 また、外へ出るときは日陰を歩いたり、日傘などを使ったりして直射日光を避け、いつもよりこまめに水分をとるようにするなどの工夫も大切です。
体調管理につとめる
熱中症を防ぐためには、普段から体調管理につとめておくことも大切です。体調が悪くなると体温調節機能がうまく働かずに、熱中症にかかりやすくなってしまいます。十分な睡眠をとり、栄養をしっかりととって体調を崩さないように注意しましょう。
最後に
最近では熱中症対策グッズなどもいろんなものがたくさん出てきています。
ご家庭にあったものを見つけてしっかり対策を行うようにしましょう。